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家コラム #家族

  • 執筆者の写真: いえ
    いえ
  • 2021年12月20日
  • 読了時間: 3分

再び打ち解けるまでの 微妙な空気と時間

 

 この春、息子が保育園を卒園し、小学1年生になりました。わが家に初めて訪れた夏休み、家族で旅をしています。バンコクを経由し、 最終目的地であるタイの北部にある街・チェンマイへ。 洋服・雑貨を販売している妻はバンコクのマーケットで材料の買い付け。 息子と僕は、近くの博物館へ行き、タイのこどもたちに混じって遊びました。 夜は久しぶりに会うバンコク在住の友人とイサーン料理がおいしいレストランへ。 バンコクで写真に写る息子の髪はボサボサに伸び切っています。それには理由がありました。 幼い頃に緊張しながら初めて髪を切ってもらった思い出の美容室で、大好きな美容師に髪を切ってもらう予約をしていたのです。 すっきり素敵にカットしてもらい、レストランへ向かう途中、どうしても街を走るバイクタクシーに乗りたいと言い張る息子。 「いやいや、公共交通機関で行くでしょう」「しかたがない、バイクタクシー2 台に分かれて乗る?」などと言い争っていたところ、痺れを切らしたドライバーが「もう 3 人まとめて乗っちゃえよ!」と、スクーター 1 台にドライバーを含めると 4 人乗りして、夜のバンコクを疾走することに......。


 バンコクで数日過ごした後、チェンマイへの移動は深夜発の 2 等寝台で 14 時間の旅。国籍の異なるバックパッカーたち、手際よく座席をベッドに変えていく乗務員、穴を覗くと線路が見える、つまり線路に糞尿を撒き散らすトイレなど、息子にとっては最高の列車の旅だったようで、寝際に一言、「僕、しあわせ」と。


 もともとタイに興味があったわけでもない僕が、頻繁にチェンマイに通うようになったのは、妻の仕事がきっかけです。数ヶ月に1 度、2 週間ほどチェンマイに滞在する出張を繰り返していた妻。長い時には 1 ヵ月滞在することもあり、当時保育園に通っていた息子と僕が二人で留守番するのもなかなか大変でした。そこで出張に同行するように。妻が 20代からベトナムを中心に東南アジアに通いつめていたこと、また、僕と結婚する前に両親を亡くしていたことも関係しているかもしれません。息子が 2 歳の頃から通っているチェンマイは、気がつくと妻の故郷のような存在になっています。息子はチェンマイに住む友人家族と会うのを心待ちにしていました。友人には中学生の娘と小学 3 年生の息子がいます。彼女たちに会えたときの息子の嬉しそうな表情や、1 年のブランクを埋めて再び打ち解けるまでの微妙な空気と時間。それだけで旅の理由としては十分でした。


 今回の旅のお供は、ミヒャエル・エンデの「モモ」。毎日寝る前に息子と読んでいます。妻と僕、それぞれ交代で仕事をしながらも、いつもよりも長く家族 3 人で過ごしているこの期間に読むにはぴったりの内容でした。


















WRITER 

佐々木信(ささきしん)

3KG代表。学生時代は札幌のミニシアターで映写技師として勤務。サッポロスマイルや、AIR DOのマスコットキャラクター、ベア・ドゥをデザインしました。



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